「赤いリンゴ」を思い浮かべようとしても暗闇が広がる--いま目の前にないものを心の中でイメージできない一方,実際の視覚機能には問題がないアファンタジア。本書は著者をはじめ,世界中の当事者の実体験を多数収録。何が得意で,何に困難を抱えているのかを明らかにし,読者を認知や心像の多様性を知る旅に誘う。
●本書で扱われているおもなトピック●
第2章
・寄稿者たちは、どのように他者に対してアファンタジアを説明しているのだろうか?
・他の人たちは、どのように反応するか?
・アファンタジアの状態を説明するとき、寄稿者たちは他の人に対してどのような懸命な言葉を使用しているのだろうか?
・アランが明らかにしたように、彼のアファンタジアは視覚イメージだけでなく複数の感覚に影響を及ぼしている。多くの寄稿者たちが類似した経験を報告している。
第3章
・幼年期や学校時代におけるアファンタジアの影響を解明するのは難しいかもしれない。単純に、ほとんどの人たちがアファンタジアの状態について知らないし、その人たちの仲間やきょうだいのほとんどは視覚イメージを形成することができるからである。アファンタジアは、彼らの学校生活に影響を及ぼしたのであろうか?
・大人になってから振り返ってみると、「違和感」とは、人々の努力や理解が、その周囲で見たものや経験したことから少しばかりずれていることを意味している。もちろん、根本的な原因は多くの要因から生じるかもしれないが、いくつかの違和感が続くような印象をのこしてしまう。必ずしも、それがアファンタジアというわけではないが。
・違和感という考え方とともに、特にきょうだいや同僚との初期の関係におけるアファンタジアの強い影響については多くの関心を集めている。もちろん「違和感」と同様に、多くの人たちは、アファンタジアとは関係のない理由で、仲間や家族とは違っていると感じるかもしれない。
第4章
・この本の寄稿者から光を当てられたことの一つとして、いかに多くのアファンタジア傾向者が想像的、創造的であるかということがある。反対に、他の人たちはアファンタジア傾向者の想像には限界があるとも感じている。
・「私はフィクションを読むのが好きだが、書かれた物語を視覚的にイメージできないので、いつもページ上の単語と格闘している」とアランは書いた。アファンタジアは、本や読書の楽しみに対してどのような影響を及ぼしているのだろうか?
第5章
・人生を記録するためにイメージを捜し求めたいというアランの切望は、多くの寄稿者たちに共通している。
・「写真やビデオは私の記憶になっている。人や物事など、私の周囲の全てについて、自分が見るのと同じくらいできるだけ多くのビデオを録画しようとしている」と、アランが説明してように、彼は携帯電話でたくさんの写真を撮っている。寄稿者たちもたくさんの写真を撮るかどうか、尋ねられた。
・アランは撮影したイメージによって、その瞬間に連れ戻される。多くの寄稿者たちっも、同じことを感じている。
・テレビは、現代生活の中心にあるメディアであり、一部の人々にとっては飽きのこないものである。チャンネルサーフィン、ボックスセットの視聴、そしてあらゆる興味に対応するチャンネルの多さ--テレビは多くの人々のニーズを満たしてくれる。実際に、アランのテレビの楽しみ方は他のひとたちにも共通している。
第6章
・眠ったとき、夢を見る?
・色のある夢を見るだろうか?
・どのくらいの期間、夢を覚えていられるだろうか?
・既に述べたように、アランは白昼夢にふける。彼の白昼夢は、問題解決を中心的な題材とすることが多い。そこに視覚イメージは含まれていない。
・夢を見るとき、あなたの心が創造したであろう物事を見ることはできるだろうか? あなたの世界には全く存在しないものだろうか?
第7章
・この本の調査において、寄稿者たちは、自身の記憶を評価して、アファンタジアが影響を及ぼしているかどうか判断するように頼まれた。
・人の顔の再生ができないことはアファンタジアのネガティブな点として寄稿者たちから頻繁に引き合いに出されているが、認識に関することはそれほど問題ではなく、アファンタジアの特徴として一般的なものでもないように感じる。
アファンタジア
イメージのない世界で生きる
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