『いま,子どもと本を楽しもう』書評


●高知新聞2001年6月12日 いま,子どもと本を楽しもう

読書の喜びを伝える「いま,子どもと本を楽しもう」 土佐女子短大片岡徳雄学長 本誌連載が一冊に
 土佐女子短期大学学長の片岡徳雄さんが,「子ども読書年」だった昨年,本紙家庭面に連載した「本読む子ども」が,加筆のうえ「いま,子どもと本を楽しもう」のタイトルで出版された。
 副題は「感性と心育ての読書法」。読書の喜びを伝え,感性の復権を訴える。
 片岡さんは,日本の青少年の間に恐ろしい非行や犯罪がはびこっている現状,心の荒廃した今を憂え,だからこそ「子どもに本を」と主張する。読み聞かせは,子どもが愛と信頼を実感できる原体験であり,本を読むことで豊かな心が生まれ,鋭い感性が磨かれて個性が育つ。そして,本によって身につけた力や心で,困難にもうち勝っていくことができると説く。
「エルマーのぼうけん」「わらしべ長者」「ロビンソン・クルーソー」など具体的に書物を取り上げて,それをどう読み,どんなふうに子どもたちに理解させていくのか,自信の体験や実践例などを織り交ぜながら,語りかけるような文章で,持論を優しく展開する。
 「かかわり話す」「楽しむ」「感じる」「想像する」「考える」「学び生きる」と,子どもの成長に沿うように章を構え,それぞれにどんな本がいいのかを紹介。巻末には本を一覧で紹介し,各章ごとに文献なども示している。

●ウィークリー出版情報 2001年6月3日No.949『いま,子どもと本を楽しもう』

Now Printing

 感性と子育ての読書法。子どもの読書体験は,よいものにふれ味わう文化体験。同時に温かい愛と信頼にふれ,味わう社会的体験。そこに心を伝え,心が育つ子育ての原点がある。情報化の波がキレる子ども,荒れる子どもをつくる。いまこそ,子どもに読書の喜びを。そして,感性の復権を。

●出版ニュース 2001年8月/下 いま,子どもと本を楽しもう―感性と子育ての読書法

情報区
子どもの本の本

 子どもの読書離れがいわれて久しい。昨年は「子ども読書年」にちなんで数々の催しが行なわれた。こうしたなか子どもの本や読書についての本の刊行が目立つ。
 〈しかし,これから想像を絶するコンピュータ時代が来ることを思い,「だからこそ,子どもに本を」と,声を大にして言いたくなるのです。子育てがむずかしい今,本が遠くなっている今,だからこそ,私たちは子育ての原点として「子どもと本を楽しむ」ことを,もう一度しっかり見つめたいと思います〉。こう書くのが片岡徳雄著『いま,子どもと本を楽しもう―感性と子育ての読書法』(B6判・199頁・1600円・北大路書房)。
 本書は,このテーマにそって個々の絵本や本を手がかりに具体的に述べる。著者は教育学専攻,近著に『日本的親子観をさぐる―「さんせう太夫」から「忠臣蔵」まで』(NHKブックス)などがある。
 こどもにとって本を読んだり,読んでもらったりすることにはどんな意味があるのだろう――『こどもの本の使い方―いっしょに読むからおもしろい』(B6判・230頁・1600円・ひとなる書房)の編集者深田恭子氏は児童書専門店きりん館を75年に開店。こどもと本の最前線で4半世紀を歩んできた。その深田氏が今改めて“こどもにとっての本”をふりかえる。
 こどもと本とのエピソード,こども自身が書いた本への思い等…70余編。タイトルの一部を拾うと―家庭はこどもが本を読む力を育むベース/安心感がたっぷりと詰まっている“行きて帰りし”物語/おんなじ本ばかり読みたがる,それは幸せなこと/こどもから本を遠ざける“良書”コール/読まないこどもが言い当てた本の本質/カフカは作品に挿絵をつけさせなかった!/『ちびくろさんぼ』でわかる絵本の絵のこと等々。
 藤田のぼる著『児童文学への3つの質問』(A5判・123頁・1143円・てらいんく)は,〈3つの質問に仮託して,読書へのいざないともとれる児童文学評論〉。その3つの質問は@今,子どもたちの「読書離れ」が盛んにいわれていますが,その要因はどこにあるのでしょうか。A子どもにとって,文学作品を読むということは,どのような行為なのでしょう。子どもは作品から,何を受けとるのでしょう。B子ども読者にとって,今どんな作品が求められているのでしょう。
 著者は,本書について〈…これまで児童文学の側の発言と,出版・流通の側からの発言,子どもの本の普及の側からの発言というのがそれぞれにはなされているけれど,それを総体として問題をとらえる,という試みはきわめて弱かったと思います。そういう意味で,この本が,各分野の論議をクロスさせていく1つの布石になれば,という思いはあります〉と誌す。

●ぺあくらぶ 2001年秋号 いま,子どもと本を楽しもう―感性と子育ての読書法

ぺあくらぶBOOK SELECTION
読書の秋,親子でジーンとしましょう!
「五感読書」のすすめ

[いまこそ読書で感性と子育てを]

 いまの子どもたちは,心でイメージを作る力――想像力が弱く,創造性にも乏しい面があるようですね。
 映像や情報化の波に溺れかねない時代,「知識」はたくさんあるかもしれませんが,子どもたちの「心」はだいじょうぶなのか,これからの社会を生きぬいていく力がほんとうに育っているのか,とても心配です。こんな時代だからこそ,子育ての原点として「子どもに本を」とうったえたいですね。
 子どもの読書体験はそのまま,コミュニケーション能力や,想像力,感情をコントロールする力になります。また,本を読むことで,自分で考え,疑問を持ち,追究する力もどんどん伸びるんですよ。
 読み聞かせは特に意味が大きく,子どもは親の声やぬくもりを通して,親と本,両方の心を感じ取ることができます。何よりも大切なのは,そのような「感じ,心を働かせる」体験なんです。
 豊かな心を育むために,「楽しい」「おもしろい」をキーワードに,子どもの感性に直接うったえかける読書を体験させてあげてください。(片岡徳雄:談,嶋崎久実子:文)

●教育新聞 2001年6月14日 いま,子どもと本を楽しもう―感性と子育ての読書法

読書のひろば
心に愛と信頼を

 今こそ,子供に本を読んでもらいたい――。これが著者の一番言いたいことである。著者は,幼い頃の本との関わりは,子育ての原点になるという。幼い頃は親との関わりで読んでもらうことが多いが,そうした時間は,子供の心に愛と信頼を実感できるよりどころをつくることだと。
 また,この情報化時代において,一つひとつの情報を組み立てて,自分に必要なものとするためには,幼い頃からの読書体験が役に立つという。
 本書は,こうした著者の思いを,作品の紹介を通して行っているもので,具体的で分かりやすい。
 読み聞かせについて,著者は本をまる読みすればそれでいいのかと,まず疑問を呈している。子供の疑問やふとしたつぶやきを大切に,「割り込みを差し止めずに,これを受け入れつつ,先に向かって楽しく進め」ようという。
 本筋を単に読み進んでいくことよりも,こうした読み手と子供との対話こそが,テレビやビデオとは異なるところであり,信頼関係や愛情が生まれる瞬間であるとする。
 従って,読み聞かせのポイントとして,読み手の側が感動し,楽しむことが第1に大事であり,人生訓や道徳を教えようとするなどは,かえってマイナスになるという。
 著者は本によって育つ心について,言葉を知り,言葉を楽しみ,言葉によって感じ,想像し,考え,学び生きることであるという。つまりは,言葉をたくさん身につけていくことによって,自らの思いを表現したり,立場の異なる人の気持ちをおもんぱかることができるようになったりするというのである。
 よく言われる「キレる」子供というのは,自らの言葉で自分の心情を表現できないがために,突拍子もない行動に出てしまうという。幼い頃から本に親しむために,本書はいろいろな助言をしてくれている。

●日本教育新聞 2001年7月6日 いま,子どもと本を楽しもう―感性と子育ての読書法

新刊案内
 子どもへの「読み聞かせ」の重要性と効用,読ませる際の注意点などを,国内外の児童文学者らの言葉を引用しながら解説する。「ヘンゼルとグレーテル」「エルマーのぼうけん」「葉っぱのフレディ」など,有名な絵本の魅力も紹介。「映像・情報文化の時代こそ,子どもに本を」と説く。