『健康支援学入門―健康づくりの新たな方法と展開』書評


●日本健康支援学会コミュニケーション誌 Ayus(アーユス) No.7 2001.09 健康支援学入門―健康づくりの新たな方法と展開

書評

 “健康づくりへの一人一人の取り組みをさまざまな健康支援グループが支援し、健康を実現する”という健康支援学の考えかたは、現在企画中、あるいは、すでに実行中の健康日本21の趣旨に添うものである。地方自治体の健康づくり担当者や、いろんな職種の健康づくり指導者の方々には、タイミングのよい指導書、あるいは入門書となる。
 1999年4月に設立された日本健康支援学会にかかわる学際的な広い領域がカバーされているので,専門職にも,健康づくりにはじめての一般の方にも,おすすめできるものである。
 組み立ては,1部が総論−21世紀の健康支援の構築に向けて,2部が支援される側からの視点として,子育て,学校,職場,地域,高齢者,ノーマライゼイションなど,ユニークな中身になっている。3部は,具体的な分野からの健康支援として,運動,食,心理,住環境,精神保健,歯,生活習慣病,コミュニケーション,健康支援ネットワークが含まれる。
 若手からベテランにいたる執筆者の分担のよさと,従来の価値観にとらわれない自由な発想,表現のため楽しく読むことができる。たとえば「学校における健康支援」のなかで“夜のコンビニや駅でみかける塾がえりの子どもたちの楽しそうな表情や弾む会話から,そこが大事なコミュニケーション場のひとつであることがうかがえる。”というところなどほっとさせられるところもある。
 執筆者のひとことのうち,いくつかを紹介してみると,“健康増進に関する研究は―――心理学や社会学などの社会科学領域との共同研究の実施が望まれる”,“健康指導は多種多様であり―――指導をおしつけるのではなく,あくまでも支援することにとどまることが肝心”,“精神科医は―――,患者の悩みを聴き支持的である態度,そして時に治療を強制する立場。前者なしに後者はありえない。支援は優しさだけでは立ちいかない。”
 また,最近のはやりの言葉である,自己効力感,ハーディネス,コヒアレンス,なども丁寧な解説がなされていて,自分でも臆せず使いこなすことができるようになるにちがいない。健康支援アドバイザーの養成についての提言もあり,自己責任・自己決定の時代にふさわしい健康支援の優れものである。(西岡和男)


●読者の声●39歳
 健康増進業務に携わる者への新たな助言的書物として良いと思います。