『身体活動と行動医学』書評


●指導者のためのスポーツジャーナル 2000年9月号 スポーツ図書紹介

 科学技術の急速な進歩によって,私たちの生活から身体活動・スポーツとを必要とする機会は減少し続け,それは,いまや世界中を通してもっとも重要な健康問題の原因のひとつとなっている。超高齢化社会を間近に控えたわが国においても,座位中心の生活スタイルから起こる不活動などのさまざまな健康阻害要因に対して,対症療法ではなく予防措置の重要性が見直されている。その意味でも,本書に紹介される身体活動の効果および具体的方法は大きな役割を持つ。本書で強調されるのは,身体活動の行動的側面であり,身体活動増進のためのアプローチである。まず,身体活動と健康とのかかわりを明らかにし,健康を維持するためにはどのような身体活動をどのくらい行う必要があるのか,具体的な各国のガイドラインも紹介している。そのうえで,身体活動増進のためのアプローチとして,個人を変化させることを目的とした介入や,住民全体を変化させるようにデザインされた地域社会レベルの介入,環境に対する介入への研究をまとめ,現代社会における身体活動・運動の必要性を述べている。