『いじめられた知識からのメッセージ』書評


●日本教育新聞 1999年12月3日 書評

知識「偏重」から「尊重」へ
 「子どもが学ぶ主体になった生き生きした授業がしたい」
 本書はどうすればこのような授業ができるかを提案する。ただし,教師が主導権をとって発問や説明をするのをやめて,「調べ学習」など子どもの疑問から授業を組み立てる方法ではない。まずは「知識」を大事にしようというのが本書の主張である。
 つまり,知識を詰め込む教育は,子どもの「興味・関心・意欲」を損なうという考えに対して,「知識が子どもたちの『興味・関心・意欲』を生み出す場合がたくさんある」というのである。第部では,このことをさまざまな角度から具体的に示そうと,授業づくりの視点を提供しようと試みている。第。部は授業のおもしろさを探究した。そして,各章の後半には,社会,理科,国語など各教科の具体的な授業プランが提案される。
 執筆者はいずれも教育心理学の専門家である。
 「学ぶ」ということは頭の中に「百科事典」ではなく自分の世界を書く「日記」を作ることという。ルールをさまざまな事例に使うことで個人的エピソードが増え,学習内容が自分の世界に入りこむ。そして,その知識に興味・関心がわき,学ぶ意欲が喚起されるというわけだ。さらに,ルールは多くの事例に使われることで内容が関連づけられ知識は学習者自身の身体の一部になるという。
 教育心理学者が提案する興味・関心・意欲を育てる授業づくりの本。