『感性を磨く「読み聞かせ」』書評


●読売新聞1999年6月3日 兵庫姫路以西版 遊楽学ガイド

子供の読書欲養う
いじめ,学級崩壊防止にも効果
 県立教育研修所の笹倉剛・主任指導主事(48)(中町中安田)が,読書離れの子供らに本の楽しさを知ってもらおうと,これまで携わってきた読み聞かせの活動をまとめた「感性を磨く『読み聞かせ』を出版した。
 笹倉さんは,中学教諭や県立図書館勤務の経験を持つ。同図書館に勤めていた時代に「いじめや学級崩壊は読書離れに関係があるのでは」と考え,本を読むことで感性を磨き,豊かな人間性を育んでもらおうと,自宅近くの「婦人の家」で,お話の会「エルフ」を開設。
 月二回,近所の親子二十人を集め,親が子供に本を読み聞かせたり,ビデオなどを見た後にその原作の本のを読んでもらったりする方法で,読書の楽しさを教えてきた。
 出版された本は四六判,二百二十四ページ。「子どもにとって自由読書とは」「耳から聞く読書の大切さ」「読み聞かせを盛り上げる工夫」など七章からなり,読み聞かせに適した本などを紹介。様々な人の体験談なども盛り込んでいる。
 笹倉さんは「子どもたちが自分の思いを表現できず,人の話を聞けないのは,活字離れにある。先生や親が子供たちと一緒に楽しく本を読めば,子供らも興味を持つ」と話している。

●神戸新聞1999年6月10日 人

子どもの感性を磨く「読み聞かせ」を薦める兵庫県教育研究所職員 笹倉剛さん
 「小学生のとき,先生が毎日,絵本を読んでくれた。そのことで面白くなかった学校生活が楽しくなった。その感動はいまでも忘れません」
 子供と一緒に本を読む楽しみをまとめた「感性を磨く『読み聞かせ』」(北大路書房)を出版。子どもが,一番信頼している人から語りかけるように本を読み聞かせられると,想像力や集中力が高まり,感性を磨くことにつながる,と訴える。
 中学校で数学教師を十七年,県立図書館に三年勤め,現在は県の教育研修所(加東郡社町)の企画調査課で研究業務や教員研修を担当する。
 「読み聞かせ」との出合いは,県立図書館での勤務時代に手にした「クシュラの奇跡」という本がきっかけになった。「重度障害児のクシュラが読み聞かせによって,健常児を上回る知能を手に入れた。読み聞かせはすごいと思った。現場を離れたくない,という思いはあったが,ここでしか得られないものが得られた」。子どもや学校を,中からではなく,外から見る目を養えたという。
 子どもたちは,学校に居場所がなくなり,息苦しさを感じているのではないかと危機感を抱く。「短期間で知識を詰め込むことのできる効率的な人間が求められ,酸欠状態になっている。すぐに結果を求めるのではなく,読み聞かせや読書を通じて,創造力を身に付けることが必要なのでは」と考える。
 具体的な取り組みとして,読み聞かせを通じ,子どもに本の楽しさを伝える「本の学校」の設立に向けて準備を進めている。「森の中にいると,心がリフレッシュする。学校も,読書で子どもの心をリフレッシュさせることのできる“読書の森”のようになれば…」。

●朝日新聞1999年5月14日 播磨版

「読み聞かせ」の素晴らしさ解説
「感性を磨く」出版

 教師や保護者が子どもたちと一緒になって本を読む「読み聞かせ」。その素晴らしさを解説した県立教育研修所の主任指導主事,笹倉剛さん(48)=中町中安田=が「感性を磨く『読み聞かせ』を執筆し,このほど出版された。子どもの読書離れや学級崩壊などへの対策として,学校現場での読書活動の必要性を説いている。
 笹倉さんは,兵庫教育大学大学院を修了。中学教師のあと県立図書館調査相談課を経て,七年前から教育研修所勤務。「日本子どもの本研究会」や「子どもと本の出合いの会」の会員でもある。
 子どもの読書離れが深刻な問題になっているなかで,笹倉さんは「朝の十分間読書や読み聞かせが子どもの読書意欲を高める」と確信。さらに,学校図書館法の改正や二〇〇二年度から「総合的な学習の時間」の導入などもあり,「読み聞かせが子どもたちの心をはぐくむ教育の実践になる」と執筆の動機を語る。
 本は,第一章「子どもにとって自由読書とは」から「耳から聞く読書の大切さ」,「教師にとっての読み聞かせの意味」,「読み聞かせを盛り上げる工夫」などの六章までを笹倉さんが書いた。また七章の「『読み聞かせ』の実践を通して」は,現場の女性教師の報告。
 「読み聞かせ」について,笹倉さんは「肩をはらず,楽しんで続けることが最も大切。国語や道徳の時間や,始業前,下校前,給食などを利用してもよい」という。

●学研 教育ジャーナル1999年6月号 BOOK&SOFT 今月の書評&ソフト

 兵庫県立教育研修所主任指導主事,日本子どもの本研究会会員の著者が「読み聞かせ」を中心とした読書活動を通して体験してきたことをまとめたものである。総合学習での実践の仕方,授業への実際的な組み入れ方を読みやすく,わかりやすく紹介している。「子どもが変わり学級が変わる」という副題があるように,今日的な子どもの問題行動にまで踏み込んだものだ。

●あゆみ出版 子どもと教育1999年6月号 たちよみ 授業づくりに役立つ本

 「楽しんで本を読む,子どもと本を読むことを楽しむ,ことばで子どもをかわいがる」――。どんなに世の中が変わってもこのことは変えてはならない,と強調する著者がつづった“読み聞かせ”のための入門書。
 ここではまず「クシュラの奇跡」などをあげながら,聞く読書,読み聞かせの世界がどれほど子どもたちの感性を豊かにし,さらに子どもたちの自由読書を支える力になっていくかが語られる。そのうえで教師が読み聞かせをすることの意味が示され,学校教育の中ではどのように読み聞かせの実践を進めていけばよいか,そのポイントや工夫点が紹介されていく。
 たとえば国語や道徳といった教科の中での読み聞かせの活用法,司書教諭の読書相談のあり方,学校図書館の整備のしかたなどから,教室内での読み聞かせの具体的な方法,約束事,さらには本の嫌いな子どもへの対応法などがていねいにつづられている。
 本書には全体をとおして日本や海外の代表的な絵本や童話が引用され,改めてこうした本の持つ魅力に気づかされる。読み聞かせといえばとかく幼稚園や保育所で,あるいは親子で行うものとのイメージが先行しがちだが,著者は中学・高校生や大学生の読書意欲を刺激するパワーがあると指摘している。
 “生きる力”や“心の教育”はと頭を悩ます前に,先生方も読み聞かせの世界に足を一歩踏み入れてみてはどうだろうか。

●日本教育新聞 1999年7月2日 閲覧室

 本書は,著者が10年余り続けてきた地域の子どもたちの読書ボランティア活動(「おはなし会」)と,学校での「読み聞かせ」を進める実践を1册にまとめたもの。「読み聞かせ」について,学校現場での実践に焦点を当てた初めての本として注目される。
 全国でも朝の学習や毎日10分の読書タイムを設ける学校がどんどん増えてきている。本書には,子どもたちの感性を磨き,豊かな生き方ができるためにも,総合的な学習としての読書タイムで,ぜひ「読み聞かせ」や「ブックトーク」を実践してほしいとの願いが込められている。著者は「特に子どもたちとの行き詰まりを感じている先生や,学級崩壊に悩んでいる先生には,ぜひ読んでいただきたい」という。