『教室からのインターネットと挑戦者たち』書評


●現代教育新聞1999年7月1日(木)「心豊かに読書を 子どものための本」

 滋賀大教育学部付属養護学校がホスト校となって構築した「電子ネットワーク上の学びの共同体」。現在,このネットワークは「チャレンジキッズ」と名付けられ,障害児学校18校,障害児学級9校によって運営されている。そこで行われる生き生きとした「学び」を分かりやすく解説。

●■■新聞(夕刊) 1999年4月16日 社会面

メール交換やCGの相互発表
ネット教室 友だち増えた
全国の障害児学級が交流
滋賀大養護学校など30校 現地訪問も活発

 滋賀大教育学部付属養護学校(大津市際川3丁目)を中心に,全国の障害児学校・学級の児童・生徒たちが,3年前からインターネットで交流を深めている。ネット上に共有の「教室」を作って電子メールの交換などを行い,中には病床からメール交換し友達を増やした子供もいる。教員らは「子供たちの世界が大きく広がった」と喜び,このほど活動記録をまとめた本を出版した。
 同養護学校は,1996年に文部省の指定を受け,教育にインターネットを活用する研究を始めた。
 全国28校(現在30校)の障害児学校・学級も共同研究校として参加し,交流の場としてネット上に子供たちが自由にアクセスできる「教室」を作った。同養護学校ではパソコン専用の部屋をつくり,子供たちが自由にキーボードに向かっている。
 「教室」では,メールのやりとりや,学校間でテレビ会議を開き意見交換したり,CG(コンピューター・グラフィックス)を使った絵も発表し合ったりしている。療養施設に入院しながら病室のパソコンで交流したり,自宅療養中にベッドから全国の友人とメール交換する生徒もいる。
 交流をきっかけに,互いに訪れ合う学校も増えている。同養護学校は97年に,修学旅行で沖縄県の養護学校を訪れた。現地での予定は電子メールで情報交換し,生徒たちが中心になり決めた。
 これらの活動を,参加校の教諭ら約40人が執筆し,まとめた本のタイトルは「教室からのインターネットと挑戦者たち」。中には,長い入院生活を続ける女子生徒が「病気に負けるか、という強い気持ちでいられたのは,外界を知る唯一の方法だったパソコン通信のおかげ」と書いた手紙なども載せている。
 指導に当たる同養護学校の太田容次教諭は「体が不自由で行動範囲が限られる子供たちが,インターネットを通じ多くの友達を作ることができた。内にこもりがちだった子供も,友達を増やすなかで積極的になった。今度は海外にも交流を広げたい」と話す。