『複合システム・ネットワーク論』書評


 本書は,北大路書房から出版されているソシオンシリーズの第1卷にあたる本である。ちなみに,本書の0卷「ソシオン理論のコア(藤澤,1997)」が,本書の後には第2巻「関係科学への道(藤澤,1998)」がすでに出版されている。さらに,第3巻「社会−心理学」,第4巻「心と社会のシュミレーション」,第5卷「家族システム理論」が今後刊行される予定である。

 本書は社会−心理現象を説明できる複合システム・ネットワーク論について考察したものである。すなわち,本書は,システム論の発展の経緯を概説しながら,特に各システム論と社会科学との関連でこれらを考察し,著者の提案するソシオン理論がどのように位置づけのもとに成立し,どのようなシステム理論的枠組を提供しているのかを明らかにしようと試みたものである。本書に記述されている各システム論は,これまでに多くの文献で取り上げられたものではあるが,社会−心理現象を説明する上でシステム論的観点が有効なことを体系的に論じた点は高く評価できる。また,著者の提案するソシオン理論が,システム論の体系の中でどのように位置づけられ,社会科学の体系の中でどのような系譜を持つのかを深く考察しており,その理論的貢献は大きいと判断される。
 本書における著者の問題提起は,社会心理学の理論の発展にとって本質的なものであることは間違いないだろう。