『思いやりのある子どもたち』書評


●児童心理 平成7年12月号より抜粋 思いやりのある子どもたち

 本書の著者であるアイゼンバーグは向社会的行動研究の先頭に立ってきた研究者の1人である。彼女のたくさんの著書のなかで,本書には次のような特徴がある。
 一般の読者を目指して書かれていること,2つめとしては,「心優しい赤ちゃんと思いやりのある子どもたち」の章にみられるように,発達的な変化がきちんと書いてあること,3番目には,子どもの個人差に目が向けられていること。「向社会的な子どもの特徴」の章でそれがまとめられている。つまりは,本書の特色はより実際的に書かれているところにある。もちろんその場合にも,アイゼンバーグの論の進め方は慎重であるが,以前の書き方よりはやや踏み込んだ部分があちこちに見られる。そのことは「向社会的行為の動機」「文化的影響」「家族による社会化」「家族以外の社会化」などの章にも見られる。(菊池章夫)