『生活体験学習入門』書評


●内外教育 1995年5月19日 教育関係の新刊書コーナー〈社会教育〉

 福岡県庄内町が1989年に開設した社会教育施設での実践をまとめる。

●日本教育新聞 1995年9月23日 生涯学習のページ

地域ぐるみの子育て
 福岡県教委が実施する「生活体験学習推進事業」の先行実践となっているのが,同県内の庄内町の試みだ。
 昭和62(1987)年に社会教育施設を活用して始まった「生活体験学校」の理論,実践,展望をつづった「子どもの生活を育てる 生活体験学習入門」が1冊にまとめられている。
 同書では「今,なぜ直接体験が必要か」「体験獲得と親の役割,地域の役割」「庄内町がつくった『まるごと体験』の拠点」「生活体験スケッチ」「広がる生活体験学校での活動」「生活体験学校の運営の実際」「生活体験学校の成果と未来」で構成する。
 子どもたちが生活する拠点をつくり,そこに社会教育関係者や保護者,地域のボランティアがかかわっていくことで「地域ぐるみの子育て」を実現している。

●西日本新聞 1995年6月19日 

 福岡県庄内町の「生活体験学校」を紹介し,その成果を分析した論文集。
 自分で考えて行動ができない,無気力で「指示待ち」の子供が増えている。過保護の影響だろう。生活体験学校は,合宿して朝食を作ったり,掃除や畑仕事など,家庭で失われた生活体験をしながら学校に通う施設で,行政による子育て支援の試みとして注目されている。

●月刊公民館 1995年7月号 ファイル

 『子どもの生活を育てる/生活体験学習入門―福岡県・庄内町のこころみ―』と題された本書は,同町が心身ともに健やかな子が育つことを願って1987年に開設した社会教育施設「生活体験学校」での実践をまとめたもの。
 この施設の特色は,@ほかの類似施設と違って,学校の授業が行われている平日の利用を基本としていること。つまり,子どもたちが共同生活をしながら学校に通う「通学合宿」(小学校4年生の希望対象者・期間は1週間)。A生活体験をまるごとさせるために自炊を基本としていること。B動物(鶏・羊・兎・犬・馬など)を飼っていること。C子どもたちが食べる1週間分の野菜の大半を有機農業の方法で作っていること。
 ここでは,子どもたち同士の触れ合いを深めて社会性を培う,とともに地域の大人たちとの触れ合いを深めるよう運営に留意されている。
1.今,なぜ直接体験が必要か
2.体験獲得と親の役割,地域の役割
3.庄内町が作った「まるごと体験」の拠点
4.生活体験スケッチ―その失敗と混乱と感動
5.広がる生活体験学校での活動
6.生活体験学校の運営の実際
7.生活体験学校の成果と未来
あとがきに「庄内町は,単独事業として“生活体験学校”を開設しました。それも行政の一方的な音頭取りの教育施設ではなく,子どもの保護者と地域のボランティアとが一体となって実践する“地域ぐるみの子育て”を目指したものでした。生活体験学校は小さな町の子育ての拠点として,多くの地域住民の支えで運営されてきました。」とあり,九州大学の依頼によって社会教育主事講習の現地研修も受け入れている。

●日本教育新聞 1995年6月17日

 学校週5日制が月2回となり,体験学習がますます重視されるようになった。本書は,福岡県庄内町が1987年に開設した社会教育施設「生活体験学校」での実践をまとめたもの。
 生活体験学校というのは地域の子どもが自分たちで朝食づくり,ふろわかし,掃除,畑仕事などの生活体験をしながら1週間合宿し,そこから学校に通う施設である。
 子どもに宿泊体験をさせる施設はほとんど長期休業中が多いが,庄内町の場合は平日の利用という点に特徴がある。
 対象は小学4年生以上の希望者で,自炊を基本にし,動物を飼育し,有機農法の野菜づくりで自給自足,生ゴミは出さない「まるごと生活体験」にその独自性がある。
 また,食事をつくりふろをたき洗濯し掃除するなど,生活をともにすることで貴重な社会体験も味わう。
 「生活体験学校の運営の実際」を読むと,活動を支える行政と地域住民,父母の協力が見事に成果をあげていることが分かる。将来は青年や成人の体験学習の場づくりをも目ざす。
 全国の自治体にとって,大きな刺激となる活動である。

●日本教育新聞(福岡県版) 1995年5月6日

“共同生活の実践”を本に
大学教授らが理論付け

 子どもたちの自立心を高めるための“通学合宿”など,ユニークな活動が注目されている嘉穂郡庄内町立庄内生活体験学校の実践がこのほど,1册の本にまとめられ出版された。
 書名は,「子どもの生活を育てる生活体験学習入門〜福岡県・庄内町のこころみ」。
 庄内生活体験学校は,直接体験の乏しい現代の子どもたちに,生活上の体験を豊富にさせ,自立を図ろうと,町が昭和62年に開設した社会教育施設で,地域の子どもたちが1週間,食事づくりや掃除,畑仕事など共同生活しながら学校に通うことを基本としたユニークなもの。
 このため,宿泊施設でありながら,食事をつくる職員がいるわけではなく,運営自体がボランティアで支えられている。また,広大な敷地では,有機的農業による畑作や動物の飼育が行われ,子どもたちが自然体験を味わえるような環境にある。
 同学校の取り組みについては,平成3年に町教育委員会が「子供の独り立ちを目指して」と題する論文集としてまとめ発行したことがあるが,市販本に収めたのは今回が初めて。
 同学校の実践記録といっても,ここを拠点にさまざまな活動が取り組まれており,また,体験活動の大切さについての理論的な裏付けもなされているため,社会教育,家庭教育に関心を持つ人たちの入門的ガイドブックにもなっている。

●読売新聞 1995年3月31日 

庄内町の生活体験学校 本になりました
福教大の横山教授ら成長する子供紹介

 庄内町が管理・運営する同町生活体験学校をモデルに体験学習の大切さを訴えた「生活体験学習入門――福岡県・庄内町のこころみ」が,北大路書房(京都市)から出版された。
 同学校は,子供たちの自主性を育てることを目的に89年に発足。小学生たちが約1週間,同学校で合宿,炊事,農作業などの共同生活をしながら小学校に通う施設で,同町内の小学生の約7割が卒業までに1度は体験している。
 7章(217ページ)からなり,2章までは生活体験学習の必要性,意義を分かりやすく説明。3章以降は,同学校の成立過程に始まり,共同生活の状況,精神的に成長する子供たちの様子がスケッチ風に紹介されている。
 正平さんらは「4月から土曜日の休日が月2回に増える。休日の過ごし方の参考にしてもらえれば」と話している。1500円。