『図説 生徒指導と教育臨床』書評


●日本教育新聞 1993年10月23日より抜粋 図説 生徒指導と教育臨床―子どもの適応と健康のために

 生徒指導と教育相談との関係が,体系的にも,実践的にも,極めて興味深く整理,統合された一書である。
 基本編のほか,実際編の6事例,資料編の基本文献,教師に役だつ相談機関の紹介なども,たいへん丁寧で,日々の実践活動にすぐに役だつ配慮がなされている。
 教育相談の考え方も,従来の生徒指導との対比的区分や,積極的な部分での治療的相談のみに片寄ることなく,むしろ,生徒指導の課題は即教育相談の課題としてとらえ,教育相談のもつ積極的な側面である。児童・生徒の心身の健康増進を図る開発的相談,また,不健康に陥らないようにするための予防的相談を,今後,特に重視しなければならないことを指摘している。
 単なる病人の診察・治療に終始する「臨床」ではなく,真に「教育臨床」に値する生徒指導,学校教育相談とは何か,本書はそれを考えさせる素材を十分に提供しているといえよう。(井上裕吉)