『道徳性心理学』書評


●今月のBOOKより抜粋 道徳性心理学―道徳教育のための心理学

 本書から次のことが学べるだろう。
 @発達段階説はコールバーグのもの以外に,W・M・カテーネスの心理・社会的コンピテンス,F・M・ホフマンの共感,A・H・マズローの欲求など多くのものが紹介されている。これらを読むと,フロイトでなくても,能力以上のことを要求する大人から子どもを守らなければならぬと痛感できる。
 Aモラル・ジレンマ以外に調査方法などで示唆を受けるのは,J・R・レストのDIT(価値葛藤定義づけテスト),J・レヴィンガーの文章完成法(SCT),J・ケーガンの「標準」指標,W・ミッシェルの「パーソン変数」,R・ホーガンの共感性尺度などである。
 Bそれら以外にも,(a)「自己理解」「自己反省」と道徳性との関係(W・デーモン),(b)非行防止に関して子どもたちとの話し合いに成功した事例の分析(C・F・パワー&A・ヒギンズ),(c)校則や挨拶などを習慣,いじめやウソなどを道徳の問題として区別したうえでの指導(E・チュリエル),(d)奉仕活動などに関係のある「向社会的行動」に影響を及ぼす要因(N・アイゼンバーク),(e)自我過程や道徳性水準(N・ハーン)など学ぶべきものが多くある。
 C前出の学者以外に,有名なエリクソン,ギリガン,セルマン,バンデュラ,オールポートの学説も紹介されている。(森岡卓也)