『子ども会活動入門』書評


●日本教育新聞 1992年5月16日 PTA・家庭・青少年

5日制時代の子ども会は?
運営工夫など提案 活動の悩みや「Q&A」も

 「子どもがお客さんになっている子ども会が多い」「中学生の参加が少ない」―こんな子ども会運営の悩みにこたえようと,福岡県子ども会活動研究会(編集代表=横山正幸・福岡教育大教授)がこのほど,学校5日制時代に対応できる子ども会活動の入門ガイドブックをまとめた。大人主導の子ども会運営からの脱皮や中学生の扱い方,学校との協力関係や安全対策,活動上の悩みについての「Q&A」など,学校5日制時代に活躍できる足腰の強い子ども会活動への提案が随所に盛り込まれている。
 「現代っ子がよみがえる子ども会活動入門(北大路書房刊,1500円)と題するこのガイドブックは,福岡県教委が4年前から実施してきた青少年活動の指導者養成研究会の関係者らが中心になってまとめたもの。
 9月からスタートする学校5日制の実施を前に,子ども会など地域の子ども団体の役割がクローズアップされているが,肝心の子ども会の活動が低迷しているところが多いのが現状。
 同ガイドブックでも,非行防止や行政主体の行事のための「動員型」や,年間計画やプログラムをすべて大人がお膳だてしてしまう「大人主導型」,その反対に子どもに任せっきりにしてしまう「放任型」,さらには子どもが集まらないからと,お菓子や文具類を与える「ものやり型」など,子ども会が陥りやすい活動パターンを分析している。
 こうした問題点を解決するために,ガイドブックは子ども会組織の望ましい会員数や役員構成,指導者の役割や指導の原則,活動計画の立て方や実際の運営方法,育成会などの親の組織のあり方や家庭・学校との連携のあり方,救急法や安全確保の留意点,戦前戦後の子ども会組織の歴史,具体的な活動上の悩みに答える「Q&A」など,多方面にわたってアドバイスしている。
 たとえば,大人主導の子ども会運営から脱皮するためには@子どもに計画立案から実施まで任せるため行事を精選するA育成会役員で綿密な計画をたて,それとなく指導・助言して子どもに達成感を持たせるB短気にならず,あせらず育成会員や指導者に「子どもに任せる」ことの意義を「おたより」などの通信で啓発していく―などを提言。
 また,中学生の参加問題については,関心や興味の違いをふまえて独自の組織づくりを進めたり,ジュニアリーダーとして中学生に活躍する場を用意するなどの工夫を呼びかけている。
 学校との連携のあり方も学校5日制と絡んで問題になってくるが,同ガイドブックでは@遊びや地域活動の重要性を理解してもらうA育成会との連絡を密にし行事の調整や施設の開放などで協力してもらうB子ども会と学校がタイアップした活動を進めるC地域の住民として教師にも指導者として経験を生かしてもらう―などを提案している。
 ガイドブックをまとめた横山教授らは「5日制実施で子ども会への期待も強いものがあるが,子どもが『お客様』の子ども会のままでは,学校にかわって別の『管理』の中に子どもが組み込まれるだけで,せっかくのゆとりが無意味になる。生きいきと楽しく遊び,心身の発達を助ける子ども会をどうしたら生み出せるかを考える参考にしてもらえれば」と話している。

●朝日新聞 1992年4月15日 福岡 にゅうす・NEWS

子どもらしさを育てる「ガイドブック」を出版
県子ども会活動研究会

 「学校5日制時代への対応」という副題のついた「現代っ子がよみがえる子ども会活動入門」が出版(北大路書房)された。福岡県子ども会活動研究会(編集代表,横山正幸・福岡教育大教授)が,子どものための子どもの会のあり方などを具体的に提言,子ども会関係者に格好のガイドブックになっている。
 本書は最近の子どもが集団で遊ばなくなり,その結果,社会性や生活の知恵を身につける場を失っていることを指摘。さらに学校5日制の導入がこうした傾向にどんな影響を及ぼすか,という視点から子ども会活動の見直しを提言している。

●日本教育新聞 1992年10月17日 

 「子どもたちが遊ばなくなった」「遊びが変わった」と心配する声が多く聞かれる。遊ぶ時間や場所があっても遊ぼうとしない子どもが増えているというのである。
 子どもたちの心に何が起こったのだろうか。この現象を憂慮する大人は多い。
 また,子どもたちの健全育成の面から,家庭と地域社会が積極的に子どもたちの活動する場や機会をつくるために努力を続けている時でもある。このことは同時に,学校週5日制の実施を目前にする学校側の心配でもあろう。
 このような時期に,子どもの遊びや活動する場としての「子ども会」について真正面から考え,取り組みをしている研究会がある。
 福岡県子ども活動研究会がそれである。福岡教育大学の横山教授を中心に,その研究・実践をまとめて「現代っ子がよみがえる・子ども会活動入門」として出版された。
 全体は10章から構成されている。遊びの意味や現状の分析に始まり,子ども会活動の今日的意義・役割へと論が進む。
 中でも見逃せないのは,子ども会の組織づくり,指導者の役割,活動の計画・実際といった具体的ですぐ実践に移せる点である。子ども会に関わる指導者だけでなく,学校の教師にもぜひ読んでいただき,日常の子どもたちの活動を生きたものにする参考にしてもらいたい。
 また,7章では「家庭・学校・地域と子ども会」と題し,子ども会を支える環境づくりの意義という面から,それぞれのもつ問題とその役割が明確にされており,考えさせられる貴重な1章となっている。