心理学からみた食べる行動
 基礎から臨床までを科学する
もくじ

 はじめに

第T部 基礎

第1章 食行動の生理的基礎
1. 摂食を短期的にコントロールする末梢の要因
 (1)グレリンは日常の食事時間の1-2時間前から増加し始める
 (2)グレリンの静脈内投与は成人の摂食行動を増加させる
 (3)コレシストキニンは胃の内容物が充分にあるときに限って
   摂食量を抑制する
 (4)インスリンはおいしい「3時のおやつ」の摂取量を減少させ
   る
2. 摂食を長期的にコントロールする末梢の要因
 (1)成人女性の日常的な摂取カロリーと血中レプチン量には
   負の相関がある
 (2)レプチン欠損マウスにレプチンを腹腔内あるいは血管内
   投与すると、摂食量が用量依存的に減少する
3.中枢による摂食のコントロール
 (1)グレリンは弓状核のNPY含有ニューロンを賦活すること
   で摂食行動を促進する
 (2)脳室内へのレプチン投与は摂食量を抑制すると同時に弓
   状核のNPY mRNAレベルを低下させる
 (3)レプチンやインスリンは脳内報酬系に作用し、報酬系の
   機能を抑制する


第2章 食行動への学習の影響
1.学習とは何か
 (1)古典的条件づけ(パヴロフ型条件づけ)
 (2)オペラント条件づけ
 (3)観察学習
2.食事の開始に関する学習の影響
 (1)条件づけられた食事の開始
 (2)人間における条件づけられた食事の開始
3.食事の終了に関する学習の影響
 (1)条件性飽和
 (2)人間における条件性飽和
4.学習による生理的要因の調整
 (1)血糖値の低下と食事の開始の関係
 (2)食事の予期による血糖値の低下
5.好き嫌いの学習
 (1)風味-風味条件づけ
 (2)風味-栄養条件づけ
 (3)砂糖を用いた風味選好条件づけ

第3章 食行動のセッション内変動
1.食べるペースの変化をどのように記述するか
 (1)食行動のセッション内変動とは
 (2)食行動のセッション内変動の新しい記述
 (3)セッション内変動の新しい記述のパラメータ
 (4)セッション内減少が累積摂食量の増加に比例する意味
2.セッション内変動の動物を対象とした実験
 (1)セッション内減少の馴化仮説
 (2)変動性の効果による馴化仮説の検討
 (3)ゆっくり食べることの効果(反応持続時間の効果)
3.セッション内変動の人間を対象とした研究
 (1)過去の人間の食行動のセッション内変動研究
 (2)人間の食事セッション内減少にAoyama (1998)の数
    式を適用
 (3)人間の食事セッション内減少と馴化仮説
4.人間のセッション内減少を変化させる要因の効果
 (1)ゆっくり食べることがセッション内減少に及ぼす
    影響(仮説)
 (2)ゆっくり食べることがセッション内減少に及ぼす
    影響(実際のデータ)

第4章 食行動と環境要因
1.食器の大きさと形状の要因
 (1)食器の大きさが食物を取り分ける量に及ぼす要因
 (2)グラスの形状がアルコールを注ぐ量に与える影響
2.摂食量の見えが摂食量に及ぼす効果
3.物理的環境と摂食量
4.食べ物の要因
 (1)一食分の量の要因
 (2)人工甘味料の摂取の効果

第5章 食行動と認知
1.記憶と摂食量
 (1)脳の損傷による記憶の障害の効果
 (2)“ながら食べ”により食事の記憶を阻害した影響
 (3)前回の食事の記憶を向上させた場合の効果
2.期待と味覚
 (1)食物についての期待が食物のおいしさに与える影響
 (2)マクドナルドのブランドが食物の好みに与える影響
 (3)期待を持たせるタイミングの効果:食前 vs. 食後
3.コーヒーとアルコールの認知機能への影響
 (1)カフェインによる条件づけ
 (2)アルコールによる条件づけ

第6章 食行動と社会的要因
1.食行動におけるモデルの効果
 (1)モデルの効果とは
 (2)リアルモデル実験
 (3)リモートモデル実験
2.抑制的規範説の観点から
 (1)抑制的規範説とは
 (2)抑制的規範説から諸実験を再検討
 (3)モデルの効果に関する抑制的規範説の検証
3.食行動の社会的促進

7章 食行動と態度・感情の要因
1.態度の要因
 (1)潜在的態度とは
 (2)食物に対する顕在的態度・潜在的態度と行動
 (3)潜在的態度の変容による食行動の変化
2.感情の要因
 (1)不安による摂食量の変化
 (2)感情抑制の影響
 (3)認識されない感情刺激の提示による行動の変化

第8章 食べ物の購入
1.食と消費者行動
 (1)消費者心理の研究
 (2)期待が食事の評価を左右する
2.食品の購買を左右する諸要因を考える
 (1)アンカリング効果と価格判断
 (2)商品選択肢の数
 (3)希少性の効果
 (4)POP広告の効果
3.消費者行動研究の実際
 (1)研究概要
 (2)実験環境の統制
 (3)イメージ型POP広告の掲出で模擬店の売上げ増は
    見込めるか

第9章 食物渇望
1.食物渇望とは何か
 (1)食物渇望の定義とその研究動向の変遷
 (2)渇望される食物
 (3)渇望の測定方法
2.動物モデルによる食物渇望の研究
 (1)動物モデルの実験パラダイム
 (2)砂糖渇望の手がかり刺激による回復
 (3)砂糖の剥奪により生じる渇望の孵化
 (4)環境の豊富化による渇望の低下
3.人間における食物渇望の研究
 (1)食物渇望に対する食物刺激の効果
 (2)食物渇望の抑制方法
4.日本人に特有な食物渇望:ごはん渇望
 (1)渇望される食物の特徴
 (2)剥奪によって生じるごはん渇望
 (3)ごはん渇望が生じるおかずの効果


第U部 臨床

第10章 偏食
1.偏食とは何か
 (1)偏食の定義と特徴
 (2)偏食のもたらす問題
2.強化スケジュールと変化抵抗
 (1)行動変動性の低下とスケジュール感受性の低下
 (2)行動的質量の大きさと消去抵抗
3.偏食の改善に対する応用行動分析
 (1)食物への恐怖・嫌悪に対するエクスポージャー技法
 (2)摂取食物レパートリーを拡大するための行動変動性の
    強化手続き
 (3)好きな食物への偏食に対する代替行動技法
4.臨床例:自閉スペクトラム症幼児の偏食改善に対する母親
  への介入〜「食事準備・料理工夫」行動の拡大による効
  果〜
 (1)クライエントおよび家族構成
 (2)主訴
 (3)偏食に関するエピソード
 (4)ケース・フォーミュレーション
 (5)介入の経過

第11章 肥満とダイエット
1.肥満とダイエットの関係
 (1)肥満とは何か
 (2)ダイエットは肥満を改善しない
2. マインドフル・イーティングとその効果
 (1)マインドフル・イーティングが食べ物の好ましさに与
    える影響
 (2)マインドフル・イーティングが後の食べる量に与える
    影響
3. ゆっくり食べることが摂食量に与える影響に関する研究動
  向
 (1)ゆっくり食べることが健常者の食べる量に与える影響
 (2)ゆっくり食べることが肥満者の食べる量に与える影響
4.より包括的な「生活全体」に対する視点への転換
 (1)なぜ食事の制限と運動の継続は続かないのか:「体験
    の回避」という悪循環
 (2)なぜ「ダイエット(体重減少を目的とした)」はいけ
    ないのか:言語が持つ両義性
 (3)「言語によって増悪された体験の回避」を整理する:
    心理的柔軟性モデル
 (4)心理的柔軟性モデルに基づく援助:アクセプタンス&
    コミットメント・セラピー
5.臨床例:肥満に対するACT(脱ダイエット・プログラム)
 (1)クライエントおよび家族構成
 (2)主訴
 (3)肥満に関するエピソード(心理的柔軟性モデルと対
    応)
 (4)心理検査の結果
 (5)ケース・フォーミュレーション
 (6)介入の経過

第12章 2型の糖尿病
1.2型の糖尿病とは何か
 (1)糖尿病の症状
 (2)糖尿病の治療
 (3)糖尿病治療における心理・社会的アプローチの重要性
2.2型の糖尿病に対する有効な介入方法(展望)
 (1)認知行動療法(CBT)
 (2)動機づけ面接法(MI)
 (3)アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)
3.2型の糖尿病に対する行動分析学的病理モデル
 (1)適切な食事や運動行動と効果の関係について
 (2)糖尿病に対する不安・恐怖とセルフケア行動について
 (3)心理的柔軟性モデルとそれに基づくアプローチ:ACT
4.臨床例:2型の糖尿病に対するACT
 (1)方法
 (2)結果と考察

第13章 摂食障害
1.摂食障害とは何か
2.摂食障害に対する有効な介入方法
 (1)ANに対する家族に基づくトリートメント(FBT)
 (2)BNに対する対人関係療法(IPT)
 (3)BEDに対する認知行動療法(CBT)
3.摂食障害の治療・援助に対する新たな展開:機能的次元ア
  プローチ
 (1)摂食障害に対する新しいアプローチ
 (2)摂食障害における「社会的プロセス・システム」の特
    徴
 (3)摂食障害における「気質」の特徴
 (4)摂食障害に対する「機能的次元」アプローチ
4.臨床例:過食性(むちゃ食い)障害に対するACT
 (1)クライエントおよび家族構成
 (2)主訴
 (3)過食に関するエピソード
 (4)心理検査の結果
 (5)ケース・フォーミュレーション
 (6)介入の経過

 引用文献
 人名索引/事項索引