あなたは当事者ではない もくじ

第0章 〈当事者〉をめぐる拡散反射(宮内 洋)
1節 本書のタイトルと内容について
2節 本書にいたるこれまでの軌跡
3節 私的な“目と耳からの2つのとらえ方”
4節 〈当事者〉をめぐる「聴くこと」と「見ること」
5節 私的な各章の紹介


第 I 部 〈非当事者〉のポジションから

第1章 固定化された関係を越えて (菅野幸恵)
1節 はじめに  
 1.投げかけられた疑問/2.子育ての場における経験の共有
2節 当事者−非当事者という関係の中で生まれる物語
 1.語りの内容は異なるのか(本音を語らないのか)/
 2.わからないこと,語られないことに気づく/3.対象者と
 研究者の関係は変化する
3節 聴き手と語り手(当事者−非当事者)の関係を越えて
 1.受け身ではない聴き手として/2.受け身ではない語り手と
 して/3.おわりに

第2章 質問者/回答者関係の逆転
     ―いったい何を問われているのか― (東海林麗香)
1節 はじめに  
 1.研究の紹介―「あたし(たち)とあの人(たち)は違うか
 ら」/2.本章における用語の説明
2節 私の研究と当事者性:付与されるものと変化可能性について
 1.「結婚してるんですか?」―協力者と同じ経験をしているか
 否か/2.「こういうことってよくありますよね?」―知識のあ
 る非当事者/3.「私よりも知ってるかもしれないけど」―事情
 通な非当事者/4.何をどう語ればいいのか―ふさわしい語り手/
 ふさわしい関係性
3節 当事者性を問われる意味:調査者のほうが質問されるとき
4節 おわりに  

第3章 〈私〉の〈当事者〉試論
     ―性同一性障害/トランスジェンダーの〈当事者〉と
      出会って― (荘島幸子)
1節 〈当事者〉とは誰か  
 1.「来てくれるのを待っている」/2.〈当事者〉と出会うと
 いうこと/3.〈私〉と〈当事者〉
2節 〈ハル〉と〈私〉,媒体としての物語  
 1.隣りあう関係/2.せめぎ合う物語,そこに生まれる意味/
 3.物語が孕む「語り得ないもの」
3節 〈当事者〉をめぐる質的研究に向けて  
 1.つきまとう〈私〉の声/2.〈私〉と〈当事者〉の経験を
 増幅する
4節 おわりに  

第4章 自死遺族支援組織の成立と遺族の声のポリフォニー
    (川野健治)
1節 はじめに  
2節 自死遺族をめぐる多声的状況  
3節 遺族支援グループ調査  
4節 ボランティアと日本社会の変容過程モデル  
5節 自死遺族グループの変動と3つの類型  
 1.特化型自死遺族支援グループ/2.派生型自死遺族支援
 グループ/3.ネットワーク型自死遺族支援グループ
6節 多声的状況からポリフォニーへ  
7節 おわりに:「当事者とは誰なのか」という問いについて

第5章 「あなた病む人,わたし治す人」?
     ―医療者がもつ当事者感覚について― (高橋 都)
1節 はじめに:仕分けの箱
2節 同じ体験をした他者との出会いがもつ意味
 1.患者会とセルフヘルプグループ/2.「病室仲間」/
 3.体験したからこそわかること
3節 3人称の視点・1人称の実感
 1.介入対象としての患者/2.それは自分にも起こり得る
 ことか
4節 「体験者」再考
5節 おわりに:医療者にとっての当事者感覚


第U部  〈当事者〉のポジションから

第6章 当事者「である」 こと/当事者「とみなされる」こと
    (今尾真弓)
1節 はじめに:私にとっての「当事者問題」とは  
 1.研究動機への問い/2.研究動機としての当事者経験/
 3.気づき・とらえ直しのプロセスとしての「当事者問題」
2節 インタビューにおける研究者の「当事者性」  
 1.ラポールと当事者性/2.当事者であることを伝える
 むずかしさ/3.当事者としての「出会い直し」/
 4.「当事者同士」という関係に置かれること
3節 病いの研究における「当事者」という立場  
 1.研究への「期待」をめぐる逡巡/2.「当事者」という
 立場への身の置き方/3.研究者の視点・立場を明らかにす
 るということ
4節 おわりに  
 1.「当事者」という言葉をめぐって/2.私の「当事者問題」
 のこれから

第7章 当事者であることに目覚める・離れる・また近づく
    (松本 学)
1節 はじめに  
2節 研究協力者の視点  
3節 当事者としての研究者を積極的に認めること

第8章 障害者による障害者心理の研究の意義と課題
    (田垣正晋)
1節 はじめに
2節 理論的議論の必要性
3節 障害者としての経験による「脱援助」「脱障害受容」と
   いう視点
4節 ライフストーリー研究における私の位置どり  
 1.中途重度肢体障害者の心理社会的問題に関するライフス
 トーリー研究/2.軽度障害者のライフストーリー研究
5節 まとめ  
6節 おわりに  

第9章 「当事者研究者」の流儀
     ―2.5人称の視点をめざして― (飯牟礼悦子)
1節 はじめに  
2節 心理学における「当事者」と「当事者」研究
3節 「当事者」による「当事者研究」  
4節 「当事者」の限界を越えて:「2.5人称の視点」の導入

第10章 「カウンセラー」という曖昧な自分と向き合う
     (星野朋子)
1節 私は「カウンセラー」?  
 1.「仕事はなんですか?」/2.「カウンセラー」とは?/
 3.「カウンセラー」である自分を知るために
2節 さまざまな「カウンセラー」との出会い  
 1.クリニックの「カウンセラー」たち/2.それぞれの
 「カウンセラー」の語り/3.「カウンセラー」になる,と
 いうこと
3節 「カウンセラー」である私の「当事者」性  

第11章 フィールドワークにおけるジェンダー
     ―ジェンダーをともに生きる〈当事者〉として―
      (野坂祐子)
1節 はじめに:誰が当事者なのか 
2節 フィールドで〈女である〉ということ:性の物語
3節 フィールドワークとジェンダー:枠組みから生成へ
4節 ジェンダーという〈当事者性〉 
5節 おわりに 


第V部  〈当事者〉と〈非当事者〉をめぐる境域  

第12章 同じ〈場所〉にいること
     ―「当事者」の場所論的解釈― (阪本英二)
1節 〈場所〉の当事者  
2節 同じ〈場所〉にいることとしての当事者性  
 1.八百屋【T】とのようやくの出会い/2.実存の様態と
 しての場所性/3.臨界モデル―当事者になるダイナミズム
3節 「内側」と「外側」の画限を越えて 
 1.当事者は「内側」なのか/2.存在という広い内側の
 場所で

第13章 原風景研究と関連する「地域性」と「当事者性」
    (呉 宣児)
1節 はじめに  
2節 韓国済州道について  
3節 研究への動機づけ・発想としての当事者性  
4節 原風景研究時期:当事者性より共同性,分析の切り口と
   当事者性
 1.調査と関連する当事者性/2.分析・執筆に関連する当
  事者性
5節 自分の地域性を問う時期:地域にとっての当事者を問う
6節 地域に住もうという時期  
7節 おわりに:当事者性は問うものというより,自ずとついて
   くるもの

第14章 意味解釈に現れる研究者の当事者性
     ―あるエピソード解釈の事例から― (山本登志哉)
1節 問題の設定 
2節 「文化」が立ち上がるとき 
3節 多様な人々の回答がもたらす違和感  
4節 つながりをもって現れてくる多様な回答  
5節 意味解釈と当事者性 

第15章 当事者視点に立つということ (森岡正芳)  
1節 当事者視点を立てることの困難  
 1.体験と言葉/2.特権的視点という罠
2節 当事者研究  
3節 当事者の声の発見  
4節 当事者視点に立つ工夫  
 1.耳を傾ける/2.複数の文脈の中に置く/3.コミュニケー
 ションのメタレベルに注目する
5節 実践研究者の当事者性

あとがき